オマケ




「ところで、跡部は一体何なんねん」
「え…と、婚約者?」
「………」

人目もはばからない門前での初キスの後、2人は、の部屋にいた。
ソファーに背を預けながら、忍足はを両脚と両腕で包み、忍足の顎はの頭に乗っている。
その優しかった忍足の腕に、の返事を聞いて、力が籠った。

「別に本当に婚約しているわけじゃないけど、便利だから…」
「便利?」
「そう。社交場で必要以上に他の人と一緒にいなくても良いし、お見合いの話が来てもすぐに断れるし」
「ほんまにそれだけ?」
「本当にそれだけ。ただのお芝居だし」
顔を上に向けた笑顔のの額に、忍足からキスが贈られた。

「でも、このお芝居もお終いかな?」
「ええんか?」
「好きな人ができたら終わりにしよう、って言ってたから」
「好きな人、って誰やろな?」
下から見上げる忍足の顔が、にやけているのがにも判る。
真っ直ぐ見られていると、胸の鼓動が速くなるばかりだ。
部屋に2人きりで、今までにないくらい近くにいて…、ただでさえ速い心臓の音は、際限なく上がっていきそうだった。

…?」
上げていた視線を下に向けたを、忍足が覗き込む。
は忍足の脚の間で向きを変え、その広い胸に顔を埋めた。

「浮気したら、景吾さんと浮気してやるんだから」
「それだけは、勘弁してや」

自分の胸の中で恐ろしい宣言をした恋人を、忍足は優しく抱きしめていた。






                                                         The END








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